揺れる、揺られる

旅立ってもうすぐ1ヶ月。

いつもの街を訪れ、いくつもの別れを数えた。

旅の交差点で出会った人たちは、

今頃どんな景色を見ているのだろうか…。 


さて、今日は移動日。 

メーホーンソーンという街から、 

パーイ、チェンマイ、スコータイと一気に南下する。 

長距離バスの3本立て、よし行ってみよう!


↑この人の3時間はツライだろうな…。

(決してバスジャックではありません)


早朝5時半に起床、まだ夜も明けきらないうちに

そっとフロントに鍵を置き、宿を後にした。 


まずは1本目。

メーホーンソーン→パーイの山越えコースだ。 

が、やって来たのはソンテウ…!? 

ソンテウとはトラックの荷台に屋根とベンチをつけた

乗り合いタクシーのこと。


これで山越えか…。 

タイといえども朝は肌寒い。 

吹きっさらしの荷台で身を縮めて約3時間を過ごした。 

うねる道に、何度も振り飛ばされそうになりながら。






パーイに到着。すぐに次なるバスへ乗り込んだ。 

パーイ→チェンマイの山越え2本目だ。 

身を左右に揺らしながら、流れる景色を目で追う。 

ひとつコーナーを過ぎる旅に、この国のゴールへと近づいていく。 

少しの淋しさが、排気ガスと一緒に空に溶けていった。


チェンマイに到着するや否や、最後の1本、

チェンマイ→スコータイの持久戦が待っていた。 

もう、腰がイタイ…、もう、これ以上眠れない…、 

どれだけ目を凝らしても、同じような景色が淡々と流れ、 

読めない看板の文字が飛び込んでくるだけだ。 

沈む夕日、アジアの夜がそこまで来ている。


旅を始めてから通算18本目の長距離バス。 

今日だけでも13時間揺られている。 

どこまでもつづくアジアの大地を、 

這うようにバスで進む旅。 

街明かりを遠くに見ながら、そこで生きる人たちを思う。 


同じ時代に生まれ、何を感じて生きているのか? 

このアジアの夜の向こうにその答えを探しながら、 

ただバスに揺れる、揺られる。 

まるで何かのリズムを刻むように…。

旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

0コメント

  • 1000 / 1000