もうひとつのチベット


松賛林寺を後にし、宿へと戻った。


その途中、昨日さんざん探したのに見つけられなかった

レンタサイクル屋を目にしてしまった。

観光魂に火がついた。

15元を支払い、パスポートを預けて

マウンテンバイクを手にした。


目指すは「ナパ海」。


海とは名ばかりで、1つの湖である。

国の保護鳥の黒頚鶴の繁殖地、珍しい高山湿地として

自然保護区に指定されていて、

乾季と雨季で大きさが変わる季節湖で、

毎年の10月から3月までは完全に干上がり

沼地の草原のような湿地と変わるのだとか。

水がなくなった夏には、チベット人が牛たちの放牧に訪れる。

チベット=大草原

このイメージが強く、どうしても見たい景色のひとつだ。


街から約10キロ、

標高6000mを越す「梅里雪山」へ行く途中にある。

バスはなく、タクシーで50元と言われていたので

レンタサイクルはありがたい。

さぁ、峠を攻めるぞ!

今日も力強くペダルを踏みしめた。

絶景?絶叫?

クラクションに急かされながら、崖道を上りきり、

大きく吸った息を吐き出すように

急な坂を一気に下った。



大きな牛や黒い豚、そしてヤクの姿も見える。

風の谷には大草原が広がっていた。

この標高で、この空気の薄さで

誰がここまで自転車で来ると想像するだろうか。

正直、あの峠を見たときはさすがに無謀かとも思った。


でも、できた。


やっぱり“信じる”力は偉大なんだ。

自分の限界だって、このペダルが超えていくんだから。


旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

0コメント

  • 1000 / 1000