麗江(リージャン)といえば、高倉健主演の
『単騎、千里を走る』の舞台。
これにあやかったわけではないが、
千里を駆けるバスに乗ることに。
麗江発、成都行き。
その距離なんと1050km。
こちらの表記でバスは「汽車」だから、
『単汽、千里を走る』ってとこか…。
この旅一番の長距離バスに乗り込んだわけだ。
日本でいえば東京~鹿児島くらいの距離。
これを高速道路はおろか、
細い山道をひた走るってんだから尋常じゃない。
そうそう、このバスチケット、
実は宿の人が買ってきてくれた。
なんでも、外国人価格というものがあるらしく
中国の人がチケットを買えば30%オフくらい安く買えるのだとか。
夜の麗江を一緒に散歩して以来、
ここのご家族とはすっかり仲良しで、
何度か一緒に食卓にも混ぜてもらったw
13時に走り始めたバスは、終わりのない旅へと誘った。
相変わらず窓の景色は、どんな映画よりも面白い。
本を読んだり、音楽を聴いたり、心地よい時間を過ごしていた。
おかしなもので、ここ中国では到着時刻を教えてくれない。
「何時につくの?」と聞いたところで、
「運転手次第だね」って首を振られてしまうのだ。
だから、今日もどれだけ乗車するのかは検討がつかない。
昼寝をし、夕食を摂り、再び寝る準備をする。
2人の運転手は、交代で仮眠をとりながら、
巧みにハンドルをさばいていった。
そして夜が明けた。
もう何度目の休憩だろう。
いつまで経っても「成都」の文字は現れない…。
それでも、まだ窓の外を眺めていた。
「バスは長ければ、長いほどいい」、
そう、話していた友人がいる。
今なら“わかる”気がする。
だって急いだって同じ。
これはあきらめとは違った感情で、
時の流れに身をまかせることの
素晴らしさを知った気がする。
午後4時、ようやくバスは停車した。
実に27時間。
どっかのTV番組みたいだ。
足取りも軽く、街へと降り立った。
ここが成都かぁ。
千里を駆け抜けたあとの深呼吸は、
妙に清々しかった。
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