筋斗雲タクシー


ここはトルファン。

天山山脈の南東麓、

トルファン盆地の中央にあるオアシス都市。

トルファンとはウイグル語で「くぼんだ土地」の意味だとか。

古来から「火州」と呼ばれ、

夏の最高気温は40度を超える。


そんなトルファンの1日ツアーに出かけた。

この街は、駅から市街地まで60㎞も離れている。

昨日、街まで乗せてもらった乗合タクシーがあり、

その運転手と妙にウマが合ったので

彼の車でトルファンを観光することにした。

トルファンはウイグル自治区で、

「安宿に外国人を泊めてはいけない」という御触れがある。

かといって中級ホテルに泊まれば、

いつもの5倍はお金がかかってしまう…。


さてどうしたものか?


哀れに思ったのか、

運転手がホテルに片っ端から電話をかけ、

できるだけ値段の安いホテルを探してくれた。

さらに一緒にフロントで値引き交渉をし、

360元(5500円)のホテルを

100元(1500円)にまで引き下げることに成功した。


そんな彼が約束の10時に迎えに来た。


1日タクシーを借り切って、約200㎞のドライブ。

これでお値段なんと180元(2700円)。

ふたりで割り勘だから、ひとり頭1350円とリーズナブル。


トルファンといえばご存知、西遊記の舞台。

牛魔王がいる「火焔山」が長さ100㎞に渡ってそびえ、

赤色砂岩からなる山は、盛んに燃える火のように見える。

シルクロード上の要衝であった「高昌故城」は、

唐代、玄奘三蔵法師がインドに行く途中に滞在し、

説法を行ったという言い伝えがある。

薄っぺらな知識を記憶の泉から引っ張りだして

歴史ロマンに思いを馳せる。

でも頭の中ではゴダイゴの「ガンダーラ」が

リピートしつづけていた…。



数々の壁画が描かれた

仏教石窟「ベゼクリク千仏洞」、

南北8キロにわたってブドウや瓜類が

栽培されている「葡萄溝」。


彼はまるで孫悟空。

日本から来た三蔵法師一行を導いてくれる。

さすれば彼の車は筋斗雲。

行きたい!と思った場所は

アクセル全開でひとっ飛びだった。


そんな彼が明日も10時に迎えに来る。

明日は中国最後の街、カシュガルへ向かう。

その列車のチケットを代わりに買ってきてくれるうえ、

駅まで(60㎞)送ってくれるのだ。

彼の名前は「ホワンホァ」。

まったくの偶然だが、麗江で親切にしてくれた

宿の若旦那と同じ名前。(4/8の日記参照)


「謝謝」※ありがとう

明日もこの言葉を彼に届けよう。

旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

0コメント

  • 1000 / 1000