ハルタビ ’16(ペルシャ編) ♯10 STAND BY ME


テヘランにて2夜連続の空港泊。

そんな中、ドラマは深夜(早朝?)の空港で起きた。


イスタンブールからテヘランに戻って来たのは午前4時。

次のフライトまではまだ8時間もある。

実はここでひとつのカケが待っていたため、

ずっと不安を抱えたまま旅をしてきた。


それはビザのこと。

イランのビザはシングルビザを取得していたのだが、

ビザ代が1万円もかかる代物で、

昨日、トルコに出国したため、ビザの有効期限が切れてしまった。

そして帰国の便はここテヘランから。

「トランジット」扱いにならないと

再度ビザを取得しなければならないのだ。


(不安要素1)

トルコ→テヘランの便と、帰国便とは別の航空会社。

つまり、トルコ→イラン→日本という風に処理はしてもらえない。


(不安要素2)

バックパックをテヘランの空港のロッカーに預けている。

(ロッカーは入国審査後にあるので、入国しなければ自力では回収できない)

荷物を預けずにトルコに行けばよかったのだが、

LCCのため往復で荷物の料金をとられてしまうためロッカーを利用。

しかし、荷物のピックアップが入国審査後なので、

ロッカーに預けてある荷物を係員の人に取りに行ってもらう必要がある。

果たしてそんなことが可能なのか…?



さて午前4時、テヘラン空港に到着し、

トランジットデスクを捜す。

おっ、入国審査前にちゃんとあるじゃん!

よし!と思ったが、スタッフがいない。

近くの職員に聞くも首をかしげるばかりで要領を得ない。

とにかく待つか。

近くのベンチに座り、持久戦がはじまった。


午前6時。

入国審査前のホールでひとりベンチに座っていると、

空港職員らしき男性が声をかけてきた。

片言の英語で事情を話し、トランジットしたい旨を伝えた。

すると彼は優しい目でこういう。


「日本人はジェントルマンだから好きだ。

なんとかするから安心しな」と。


神に思えた。ホントにイランの人って優しい!

パスポートと、航空券の控え、そしてロッカーにある荷物の預り証を渡した。

それらを手に、彼は扉の奥へと消えた。


それから待つこと30分、再び彼が現れた。


「9時になったら僕のフレンドが来る。それまでここで待つんだ。

もしお腹が空いたならレストランに行けるように頼んでおいたよ」

爽やかな笑顔と固い握手。

でも、フレンドって誰だ?

9時まで待って誰も来なかったらどうすれば?

搭乗手続きや預けている荷物はどうなるの?

アバウトすぎる、まさに海外あるある。

いっそ1万円を払ってビザを取った方が気持ちは楽じゃないだろうか。



眠るに眠れず、不安なまま3時間が過ぎ、

約束の9時になり、そして誰も来ないまま10時を過ぎた。

飛行機の時間まであて2時間、

もう気が気じゃない…。


「お願い、誰か助けて…」


まるで「世界の中心で愛を叫ぶ」の一コマだ。

そしてついに「神」が再来した。



フレンドらしき女性スタッフとともに。

「待たせてゴメン」とばかりに、

テキパキとこれからの作業を説明してくれた。


「パスポートを貸して。いまから搭乗手続きをしてくるよ。

荷物は1つでいいかい?

日本までダイレクトで行くように手続きをしておくね」


念のため撮っておいたバックパックの写真と、

ロッカーの看板の写真を見せた。

待つこと30分、彼女は搭乗券を手に戻ってきた。

成田で荷物を受取ることを証明する荷物タグも貼ってある。

もう完璧だった☆


実は昨夜、空港の職員や警察にビザについて聞いてみた。

誰もがトランジットはできないから、

もう一度ビザを取る必要がある、と口を揃えていた。

かなり勝算の薄いカケだったが、

見事に逆転ホームランという結末を迎えた。

たぶん、もう一度同じことをやれと言われたら

次は無理だと思う。


こうして長い夜が明け、安心して機内で眠った。

飛行機は経由地であるカタールへと向かっている。

旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

0コメント

  • 1000 / 1000