イエメンのほろ苦い話…。


アデンから「タイズ」へと移動した。

ここはアラビア半島南西にあるイエメン第2の都市である。

標高約1400メートルの高原に位置し、

1962年までイエメン王国の首都であった。



つい3日前、ホデイダからこのタイズを目指しバスに乗ったのだが、

エアコンの快適さに寝過ごすという失態を犯し、通過してしまった。

いわばリベンジである。



タイズの街には「サビル山」という大きな山がそびえ、

その急斜面に家々がへばりついている。

富士山の斜面にズラっと家が並んでいる、

そんな情景を思い浮かべてほしい。



さて、今日は昼までアデンのホテルでダラダラと

過ごしていたため、タイズに到着したのは夕方。

街には「祈りなされ~」とアザーンが鳴り響いていた。

さっさとホテルに入り、再びダラダラを開始。

なにせ、土地勘がない。

英語が通じない国なので、

迷子になったら二度とホテルに戻れない。

だから、ホテルの周囲をぶらつくか、

ガイドブックに行き方が載っている観光地を目指すしかない。


というわけで、今日は書くことがない…。

イエメン人のちょっと変わった習慣でも紹介するとしよう。



「カート」という嗜好品がある。

イエメンの男性は、たいていカートと呼ばれる

葉っぱを袋に詰め込んで持ち歩いている。

そしてこの葉っぱをちぎっては口に頬張る。

ところ構わず、クチャクチャ×100。

(端から見てると、草食動物みたいでかわいい)

奥歯でよく咀嚼して、ひたすら頬の内側に貯め込んでいく。

皆、こぶとり爺さんのように頬を膨らませているから

とても異様な光景だ…。


カートとはアカネ科の木の葉っぱで、生の葉を噛み砕いて

そのエキスを飲むことにより、神経興奮の作用が得られるという。

まぁ、一種の合法ドラッグだね。

ちなみに、ケニアやエチオピアでも盛んだそうだが、

イエメンほどこぶとり爺さんが多い国はない。

お隣サウジアラビアでは違法で

もし捕まれば禁固15年だとか…。


魚や野菜と同じで、鮮度によって価値が違うようで、

朝摘みカートは高級品として出回る。

もちろん産地や品質も重要視されている。

○○産ある?って感じで。



いやぁ、イエメン人のカートにかける情熱は

並々ならぬものがあるんです。

明日は「モカ」という港街を目指す。

ご存知、モカコーヒーの名前の由来になった場所である。

かつてここイエメンでは大量のモカ・マタリを栽培していた。

しかし残念なことに、今ではモカ畑は減少し、

代わりにカート畑へと姿を変えている…。


カートの味は、コーヒーと同じくほろ苦い。

そしてコーヒーよりもカートを選んだ、

イエメンの農耕政策もまたしかり…。

旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

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