シリアで一番期待してる場所「パルミラ」。
ここは腰を据えて見学したいので、宿も2泊とった。
しかもツインをひとり占めで。
午前5時、ケータイの目覚ましが鳴り響く。
もぞもぞと起き上がり、出かける準備をした。
リンゴを齧りながら徒歩15分、パルミラ遺跡を目指した。
外はまだ薄暗く、風も涼しい。
砂漠のど真ん中をひとり歩いていく。
パルミラの遺跡群は、砂漠のオアシスに忽然と姿を現した。
パルミラは2世紀に栄華を博したシルクロードの隊商都市で、
かつての交易で栄えた夢の跡。
夜明けとともにそのシルエットに色がつき、
黄土色の温かみのある列柱や神殿跡が美しく輝いた。
まるで、あの頃のように。
遺跡を歩くときは、ガイドブックは使わないことにしている。
あらかじめどんな場所か、見所はどこかなどを簡単に頭に入れておき、
現地に着いたら思いのままに散策したい。
だって、本を見ながら歩いていたら、
いつまでたっても今の時間しか感じられないもの。
ここに神殿があって、じゃあここはメインストリートかぁ。
こんなところに劇場があったんだ!? ん、この建物はなんだろう?
当時を情景に思いを馳せながら、悠久の時間をトリップしたい。
パルミラは期待以上の遺跡だった。
早朝に訪れたことで、ほとんど観光客の姿はないし、
砂塵に吹かれながら、気ままに歩き回ることができた。
観光地には付き物のしつこい客引きも、まだ布団の中だし、
客引きといえば、彼らはみな共通して同じ論法を使う。
例えばこうだ。
―10ドルでどうだい?
「いや、いらない」
―5ドルでいいから?
「いいえ、結構です」
―ハウマッチ?
「だから、いらないんだって」
―おいおい、いったいいくらなら買うんだ?(ちょっと怒りながら)
「値段の問題じゃなくて、必要ないの」
―じゃあ、3ドルでいいよ!(手渡してくる)
「おたく、話聞いてます?」
―おいおい、3ドルだぜ?君の言い値はいくらなんだい?
以後、無限ループがつづく…(汗)
争点のすり替えというか、
まったく観点がズレているというか。
つくづく疲れるひとコマなのである。
顧客対象は日本人のみ。顔が似てる韓国人はというと、
彼らは怒るから苦手らしい…(客引き談)
さて、話をパルミラに戻そう。
これだけ立派(←妙な表現…)な遺跡にも関わらず、
入場料は一部を除いて無料とは、シリアも太っ腹である。
日差しが強くなる午前9時前には、ホテルへと戻ってきた。
日本では寺や仏閣が好きだったし、
この旅では遺跡が一番楽しい。
それらは現在社会とは対照的な位置に存在していて
そのギャップ、違和感が気持ちいい。
過去の産物でありながら今なお輝き続けている永劫。
宗教も、世界史も、ほとんど知識を持ち合わせていないが、
目に見える以上に、頭で考える以上に、
そこにある“パワー”を感じられればいいと思う。
うまく説明できないけど、
ジグソーパズルのピースがはまるように、
ピタっ!と来るんだよねぇ。
今日の夕方にもう一度。
明日の朝にももう一度。
その不思議なパワーを感じに行ってきます♪
こうやって毎日違う風に吹かれ、
疲れた身体で夜よりも深く眠る。
新しい光、新しい風、新しい自分。
たとえこの瞬間が過去になっても、
未来永劫輝いていたいものだ。
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