僕たちの失敗


確率100%と10%だったら、どっちを狙い行く?

敢えて10%に行くことを勇敢と呼び、そして無謀と呼ぶ…。



バングラデシュもいよいよ大詰め。

実はある選択を迫られていた。

昨夜一晩考え抜いてひねり出した答え、

その答えあわせに出かけた。



バングラは国境を越える際、INとOUTを同じゲートにしなければ

ならないというルールがある。

ちなみに「べナポール」から入ったので、べナポールから出るのが筋だ。

でも、次に狙っている国はネパール。

べナポールは南の国境で、

ネパールに向かうなら北の国境から出たほうが断然都合がいい。


このIN・OUTルールを崩す方法がある。

それはロード・チェンジ・パーミッションを申請すること。

しかし、日数がかかるため断念した。

残す方法はただひとつ、強行突破である。

確率10%への挑戦。果たして吉と出るか?


「ダメだ!」と追い返された場合を考慮して、

できるだけ早い時間に国境に行き、

ダメならすぐに移動できる作戦にした。


出発は午前4時、一番バスに乗り込んだ。

ジョイプールハット→ボグラ

(乗車時間1時間/100タカ ※約180円)

ボグラ→ソイドヨプール

(乗車時間3時間/150タカ ※約270円)

ソイドヨプール→チラハティ

(乗車時間4時間/75タカ ※135円)

立て続けに3本のバスをこなし、

国境の町「チラハティ」に辿り着いた。


時計は午後2時を指していた。

さあ、運命の時間。チャイを一杯飲んで、

合格発表に向かう心境でイミグレへ向かった。



あるホテルの情報ノートにはこう書いてあった。

「僕はパーミッションなしで国境越えに挑戦します。

ダメならその結果を書きに戻ってきます」と。

ページをめくるも、つづきは書かれていなかった。

突破できた、ということか。


まずはゴネてみよう。相手の態度を見て今度は媚びてみよう。

最後は“袖の下”をそっと渡せば、、、準備は整った。



イミグレへ向かう。

あれ?窓口に人がいない。

ある人が言った、「国境は閉鎖中だよ」

ガーン!である。

マ、マジで…。


ここチラハティは鉄道駅内にイミグレがある。

ホームにへたり込み、

闘わずにして負けたショックに打ちひしがれた…。

実は選択肢をひとつ誤っていた。

ここチラハティよりさらに東に100㎞行ったところに

「ブリマリ」というもうひとつの国境がある。

ここは人の往来が多い国境で、確実に開いていることを知っていた。

しかし、100㎞をケチってマイナーな国境を選んだため

この結果だ…(泣)


列車の中から、車掌が手招きしている。

どうやら事態を察知した様子だ。

「私が助けるよ、列車に乗っておいで」

こんな果てで立ち往生していても時間の無駄。

救いの手を差し伸べられてるのだから飛びつこう。

列車に乗り、広い席へと案内された。


「ブリマリに行けば国境を越えられるよ。

ただし、明日の朝になるけどね」

100%と10%、どちらを選ぶか?

再び運命の選択だ。


「べナポールに行きたいです」

100%を選択した。


きっと、今は流れが悪い。勇気ある撤退こそ、

今求められている選択なのではないだろうか?

「負けたときほど胸を張れ」

本で読んだこの言葉が好きだ。

列車の窓に頬杖をつき、流れる景色を見つめた。

地図を確認する。約1500kmの大回り。

くぅ、、辛いよぉ。


まるでウルトラクイズの罰ゲームのごとく

長い長い列車の旅が始まった。

ネパールに着くのは3日後である。

旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

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