デザートは別腹です…（後編）

目を覚まし（起こされ）、

周囲の景色に思わず二度見！？

えっ、えっ、

えぇぇぇ、すげぇぇええ！！

白砂漠は異国を通り越し、

別の星に来た気分だった☆

誰かはこの景色を

ドラゴンボールの「ナメック星」と呼んだ。

白砂の大地に、白い巨石。

自然が生み出した不自然の中には

キノコ、ラクダ、クジラ、といった

さまざまな奇岩が存在していた。

空が赤く滲む、トワイライトという黄昏どき。

この圧倒的な景色の前では、

黄昏というより、

ただ呆然と立ち尽くしてしまった。

陽気で、勝手で、傍若無人なガイドたちに

さんざん振り回されたが、

腫れた瞼に、言葉を越えた景色を焼き付け、

濃い、濃いあの夜に

本当の満腹感を覚えた。

キテヨカッタ

この場所でたくさんの溜息をこぼした。

呆れてこぼした溜息。

感動に湧いてこぼした溜息。

――。

そしていい仲間に恵まれた、

安堵の溜息。

ギターをかき鳴らし、夜空に唄った

相方ヒロ、

爽やかに、“結婚”という幸せを教えてくれた

コーちゃん＆ヨーちゃん夫妻、

ペトラからコンビを組んでいる

阪大生のタク、

もうすぐ彼女に会える、と、

はにかんで話すナオ、

落ち着いた物腰で話す

まもなく先生になるヤマさん、

そして、

イスラエルで過ごした時間のつづきを

運んできてくれたケイゴ。

ALL FOR ONE

ONE FOR　ALL

すべての出会いに感謝！

口々に良かったね、と感想を漏らし、

寝不足で、疲れきった瞳に

たしかな充実感が光っていた。

帰りの車の中で、

うとうとしていると、首元に水がっ！

な、何！？

前を見ず、後ろの様子ばかり伺っているムスタファ、

そして、その子分のモハンメッドの手には

口の開いたペットボトル。

ちょっと、寝かせなさいよ！！

ちゃんと前見て運転しなさいよ！

「メェェェェェ～♪」

白目で喉を鳴らすねずみ男は

最後まで得意気だった。