カンゲキとカンゲキ


空港に着くも激しい雨…。

もう完全にあきらめムードだった。


この際、サイでも見に行くか?

新しい選択肢に「チトワン国立公園」が浮上した。


よし、10時になってフライトキャンセルになったら

そのままチケットを払い戻して、チトワンを目指そう。

午前10時が迫っていた。

チトワン行きのバスを押さえるため

ポカラの旅行会社に電話をし、待合室に戻ってくると、

フライト待ちをしていた欧米人の姿がない。


キャンセルが決まって帰ったんだな?

カウンターに行き、払い戻しを願い出ると、

慌てた顔でなにやら説明を始めた。

いかんせん英語が苦手。でもその中でたったひと言、

この単語だけは聞き逃さなかった。


「ポッシブル(可能だ)」


え、飛ぶの? 嘘ぉ~☆

喜び勇んでセキュリティチェックを受け、

エンジンをかけて待ち構えていた飛行機に向かった。


激しい横風に何度も流され、

窓の外は真っ白…。

前回と同じ状況じゃん!

紅の豚は、必死に目を凝らし

見えない空港を探していた。


アナウンスが鳴った。

「着陸態勢に入ります」

ガタガタと機体を震わせ、何度もよろめきながら

滑走路へと吸い込まれていく飛行機。

ガシャーン、突き上げる衝動と同時に

激しい逆噴射が始まった。


つ、着いた。着いちゃったよ!

フライト成功率20%、確かにジョムソンにいる。

空港へ降り立ち、近過ぎる山、美しい街並み、

そして青いジョムソンの空を見上げた。


ハハハ、やっちゃったね♪

あきらめてただけにこのヨロコビは大きい。

まさに間隙をついた感激だった。

旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

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