タクシーブルース


物価の安い国では贅沢を!

これ、長旅をつづける上で大切なこと。



エジプトは先進国と言ってもいいくらいに

発展しているのに、とにかく物価が安い。

宿も食事も、200円あれば事足りてしまうのだ。

だから、思い切ってタクシーをチャーターした。


今日は移動日。

ルクソールから「アスワン」へと、

ナイル川沿いに南下する。



列車で4時間、

距離にして200kmくらいだろうか。

列車なら20ポンド(約400円)で済む話だが、

途中にある遺跡に立ち寄りたかったのも大きな理由。

タクシーは140ポンド(約2800円)、

宿 to 宿だもん、快適さ♪



午前6時30分、

ジーコ声の運転手が30分遅れで現れた。

トランクに荷物を積み込み、

後部座席で即寝zZZ

快適エアコン、地図も見なくていい。

「着いたよ~」って合図まで寝てりぁいいんだもん。



本日の相方は“山さん”。

ダハブで出会い、カイロで再会し、

それから約2週間、行動を供にしている。

将来は小学校の先生になる27歳。

落ち着いた物腰と、アクティブな観光意欲は

一緒にて気持ちいい。


第一印象は、

どっかの課長さん(推定35歳)

と思ってしまった(笑


本来の相方ヒロはというと、

列車でアスワンを目指すことにしたようだ。

後で聞いた話によると、

「列車の到着が4時間も遅れて、

ずっと駅で待ってたよ…」

と、こぼしていた。



実はルクソール以南は、治安がよろしくない。

そのためコンボイと呼ばれる

護衛車を付けて走らなければならない。

チャーターしたタクシーにも

銃を持った兵士がひとり乗り込んできた。

助手席でくつろぐ兵士、

運転手との会話に花が咲いている。

銃は無造作に置かれ、

銃口がこっちを向いていたため

急ブレーキの反動で誤射しないかが心配だった。



まぁ、それでもしっかり眠らせてもらい

目が覚めると兵士の姿はなく、

最初の目的地「ホルス神殿」に着いていた。


うぅぅ~ん、と伸びをひとつ打ち、

照りつける太陽を睨んだ。

入場券は20ポンド(約400円)、

何の前知識も持たないままゲートを通過した。



いやぁ、ビックリした!?

目が覚めた☆


凱旋門のような、立派な塔門。

荘厳で美しいレリーフ。

青空のキャンパスにどっしりと描かれた

巨大な遺跡は、保存状態も極めて良好だった。



ここはハヤブサの神“ホルス神”に捧げられた神殿で、

ファラオ時代とギリシアの建築様式を

取り入れた壮麗な建造物。

壁面にはプトレマイオス朝の歴史が描写されている。

1860年、考古学者マリオットによって発見された。

期待していなかった分、

前知識を持たなかった分、

心の“バー”は低く設定されていたため、

ホルス神殿はその遥か上を

悠々と越えていった。

感動と余韻を残して――。



次に目が覚めると、

「コム・オンボ神殿」にいた。

ナイル川に突出した丘の上にある神殿で、

一見したところギリシァのアクロポリス

のような印象を受けた。

ワニの神であるソベク神のために建てられ、

今でも3体のワニのミイラが残されていた。



昼下がり、暑さが厳しいアスワンに着いた。

ホテルは『ヌビアン・オアシス』、

トリプルルームで、エアコン、朝食、ネット付。

これで1人15ポンド(約300円)は安い。



4時間遅れの相方ヒロが到着したころ、

寒いくらいに冷えた部屋で、

夢の中を旅していた。

旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

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