午前6時、ナイロビに帰ってきた。
キガリ(ルワンダ)からのバスの乗車時間は24時間。
何もせずに1日を過ごすって結構しんどい(笑
「ハーイ、戻ってきたよ!」
顔なじみのスタッフと挨拶を交わし、
部屋を用意してもらった。
まずはシャワー。
凝り固まった身体をほぐす。
タオルを頭に乗せたままロビーでチャイをすすり、
朝食の袋麺を茹でた。
相方のヒロはまだこの宿にいるようだ。
見送ってもらったあの夜から数えて11日、
ここ『ニュー・ケニア・ロッジ』に沈没していた。
「はい、お土産」
ルワンダで買ったタバコを渡し、近況報告を交わす。
どうやら今夜のバスで次の街を目指すらしい。
一緒に旅をしてるようで、実は半分近くが別行動。
この距離感、このスタイルがふたりにはちょうどいい。
さて、何をしようか。
ナイロビにはこれといった観光スポットがないので
食事かネットカフェくらいしか出歩く用事がない。
その2つを済ませてしまうと
午後からは時間を持て余してしまった…。
同じ宿の日本人も同様で、
「国名しりとりでもします?」
「お、いいねぇ」
アメリカ→カンボジア→アルメニア…
“ア”ばっかじゃん!!
と、真昼間に日本人が4人、
こんなことで盛り上がっているんだから平和なもんだ。
そのままの流れで夕食に出かけ、
食事が終わると、3人は出発の準備にとりかかった。
午後10時、彼らのバスを見送り、
ちょっと物騒なナイロビの夜をひとりで歩いて帰った。
4人部屋はベッドが3つ空き、急に静かになった。
ひとりベッドに転がり、
本棚で見つけた柴門ふみの『同級生』に没頭した。
大学を卒業し、“就職”という2文字がふたりを隔て、
大人になるとは何か、を模索しながら
別れと再会の狭間に揺れるふたりを描いた作品だ。
あなたが、青春のすべてでした…
大人になったふたりは、別れを選び
それぞれの明日を歩み出す。
その選択が正しかったのかどうかはわからない。
“答え”とは、
見つけるものではなく、自分でつくるものだと
そう締めくくられていた。
本を枕元に投げ出し、大の字になったまま溜息がこぼれた。
ひとりぼっちのアフリカに、そのせつなさが重なった。
この旅を人生に置き換えるなら、
アジアが青春時代で、アフリカ青年期だ。
ちょうど大学を卒業して社会に出たころ。
将来への期待と、先の見えない不安が
混ざり合った時代。
だだっぴろい大地を闇雲に走っているような感覚は、
アフリカの旅も、青年期も同じだ。
20代は闇雲に走った。
でも、気がつけば1本の道ができていたし、
いつだって答えを出してきた。
だから、この旅の“答え”も、
見つけるものではなく、自分でつくるものなのだろう。
そっと本棚に『同級生』を返し、
次に読む旅人も同じ気持ちになるのかな?
なんて想像してみた。
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