マラウィの終わりとハードボイルド・ワンダーランド


ファンのない部屋は蒸し暑く、寝苦しい夜だった…。

屋根を叩く激しい雨、それでも気温は下がらないようで、

ジメジメの不快な湿気が増しただけ。

時計を見る、午前1時40分。

たった20分しか寝てないことに気づいた。



ここはマラウィ湖畔の集落「センガ・ベイ」。

マラウィはたった3日間で駆け抜けてしまうので、

せめて1ヵ所くらいは観光しておきたい!

と、この場所を選んだ。



長閑な漁村で、街燈はもちろん、電気のない家も多いため

日が暮れるとどっぷりと闇に支配された。

暑さで眠れない!

何度も寝返りを打ちながら

カーテンの隙間からときどき吹いてくるそよ風を待つ。

べっとりと汗で湿ったTシャツを脱ぎたいところだが、

ベッドは蟻だらけだし、大量の蚊も飛んでいる。

どうやら市場で買ってきた蚊取線香は効果がなかったようだ。

浅い眠りを何度も繰り返し、朝を迎えた。



センガ・ベイ→サリマ→リロングウェ


来たときと同じルートを辿り、首都を目指した。

正午過ぎには元の宿に着き、預けていた荷物を受け取る。

食事は近くのレストランで、ビーフライスを注文し、

圧倒的に足りないルーをご飯にかけ、

ペース配分に気を配りながら頬張った。

200クワチャ(約130円)ながら、

コクがしっかりとあって旨い。



風邪でテンションがた落ちの相方ヒロを部屋に残し、

ひとり旧市街を散策に出かけた。

首都とは思えない寂れた街。

未舗装の道が多く、絶えず砂煙が舞っていた。

観光化が遅れている国だからか、人々はスレてなく

道を歩けば「ハロー!」とたくさんのお呼びがかかる。


「ごきげんよう!」

「いい服だな☆」

「ジェット・リーを知ってるか?」



同じことを何回も言われたが、全然嫌な気分じゃなかった。

そして、両手を合わせてペコリとお辞儀をすると、

彼らも決まって同じ仕草をする。

素朴で、心あたたまる国だよ、マラウィは。


さんざん迷ってようやく郵便局に辿り着いた。

本屋で見つけた古い絵葉書を送ろうと入口に向かうが、

大きな南京錠がかかっていた。

あれ、昼休みかな?

入口で困っていると、周囲の人に「クローズ!」と言われた。

平日なのにおかしいなぁ…。


よくよく聞いてみると、どうやらストライキ中らしく、

国中の郵便局が閉鎖しているとか。

困ったな...切手のコレクションをしたいし、

絵葉書も出したかったのに…。

結局、路上で切手を購入し、

日本まで80クワチャ(約60円)だという

彼らの言葉を信じて、ポストに投函した。

ちゃんと届くのだろうか?



宿への帰り道、バスターミナルに立ち寄って

手配しておいた明日のバスチケットを受け取った。

リロングウェ→ルサカ(ザンビア)の国際バスだ。


ここ最近は3日で1ヶ国という、ハイペースで旅をしているため、

せっかく覚えた挨拶も、お金のレートも、

あっという間にリセット。



でも楽しみが1つあって、

残ったお金を遣い切るため、最後の夕食は贅沢できるのだ♪


「マラウィの終わりと

ハードボイルド・ワンダーランド」

今読んでる村上春樹のタイトルをパクリました(笑

旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

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