世界の果て… ~パタゴニア5日目~


“果て”とは、

終わりじゃなくはじまりの場所。

南米の冒険は、世界最南端の町

「ウシュアイア」からが本番だ。



マゼラン海峡でまさかの8時間足止め!を食らったため

ウシュアイアに到着したのは翌朝6時だった。

首都ブエノスアイレスから約3200km、

南米大陸の南端フエゴ島に位置するウシュアイア。

南極からわずか1000kmという距離から、

南極観光の玄関口としても有名である。



名前由来は「西に入り込んでいる湾」という意味があり、

もともとはヤマナと呼ばれる先住民が住んでいたそうだ。

ここウシュアイアには有名な日本人宿『上野山荘』がある。

御歳87歳のアヤコおばちゃんが切り盛りする宿で、

優しい笑顔と人柄に惹かれて多くの日本人が訪れている。



当初は宿ではなかったが、

寝床に困った日本人旅行者が警察に紹介されたことがきっかけ。

その後、口コミで旅行者が次々に訪れるようになり現在に至るそうだ。

世界の果てで、ホッとひと息つける場所。



玄関を開けると人懐っこい犬“トゥルーチャ”が駆けてきた。

「お世話になりまーす」

と、あやこおばあちゃんに挨拶すると、

木の温もりと凛とした空気、

高原のログハウスの匂いがする。

そして、あたたかな笑顔と元気な犬。

日本の田舎に遊びに来たような感覚に襲われた。


長かったバス移動の疲れを癒すため、

名物の五右衛門風呂に浸かった。

久々の風呂は得も言われぬ心地よさ。

思わず、「ぷふぁ~」と声と力が抜けていく。

気持ちいい♪



湯上りの散歩で町に出た。

スーパーで3日分の食料を買い込み、

「ビーグル水道」のツアー予約もした。

ツアーは日帰りで255ペソ(約7500円)と高かったが、

幸い学割が効き210ペソ(約6300円)になった。



目抜き通りは免税店やアウトドアショップ、

そしてオシャレなカフェが建ち並んでいた。

道行く人はほとんどがツーリストで、

この町の人口の数十パーセントを占めている気がした。



あと、この町の名物といえばタラバガニ!

通りにはカニの看板がいくつも出ていたので

店に入り値段を聞いてみた。

「えぇ、一杯9000円っ!?」

た、高い…。

これなら北海道の方が安いんじゃないだろうか。

あっさりカニはあきらめ、

牛肉で一番美味しい部位と言われる「ロモ」を400g購入し、

今夜の最南端記念に華を添えた。

(ちなみにロモは100gで約200円)


宿に戻ると、洗濯と日記に時間を費やした。

ストーブの温もりが眠気を誘い、

足元ではトゥルーチャが気持ち良さ気に丸くなっている。

頭を撫でてやりながら、

やっぱり日本にいるような郷愁を覚えた。

ここは世界の果てだから、旅の果てでもあり、

ってことは日本いる?

そんな風に心に作用してるのかも知れない。



その夜、最果て記念の夕食は豪勢だった。

アボガドのサラダ、カルボナーラ風パスタ、

そして極上のロモステーキ♪

調子に乗って飲めないワインも少々。



おわりじゃなくはじまり。

南米のひとり旅は、静かだけど心は騒がしい。

旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

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