ギリギリまで



午前6時の目覚ましがドミトリーに響く。

あわわと、急いで止めて上段のベッドからそっと這い出る。



パナマで過ごすのはたったの2日間で、

今夜のバスでコスタリカへと向かう。

昨日はパナマ運河とカスコ・ビエホ(旧市街)、パナマ・ビエホ

を訪れたので、今日はちょっと遠出して

カリブ海に面する「ポルトベーロ」を目指す。




「ポルトべーロ」は

パナマシティからおよそ100km離れた小さな港町で、

この町にはふたつの砦が残っている。

海賊から町を守るために築かれた要塞だったが、

1668年、ヘンリー・モーガン率いる海賊の襲撃を受け

町は徹底的に破壊された。

かのコロンブスが4回目の航海で寄港した場所でもある。



まずは昨日さんざん訪れたバスターミナルに向かい

「コロン」行きのバスに乗った。

コロンはパナマの中で、いや中米で最も治安の悪い街。

出発前に宿のオーナーから

「コロンの手前(サバニータ)で降りるんだよ」と注意された。

バスに乗り込み、運転手に「サバニータ」と書いた紙を見せ

「ここで降ろしてね」と、念を送っておいた。



■パナマシティ→サバニータ

(所要時間:約1時間/運賃:2.5ドル)


出発から1時間、

「サバニータ、サバニータ」と手招きされた。

おう、ちゃんと覚えててくれた。

サバニータで降りた乗客は3人で、

ちょうどポルトベーロへ行くイスラエル人カップルがいた。


「バスはいつ来るんだい?

割勘でタクシーにしないか?」


今日は時間もないことだし、その申し出に乗った。

サバニータからポルトベーロまでは距離にして40km、

運賃は1人5ドル。

軽快な音楽とワインディングロード。

最近は、どこへ行っても日本の風景に重ねてしまう。



ポルトベーロへの道は伊豆大島のようだった。

大きくカーブを切ると紺碧の海が見えた♪

ふたりはホテルを探すというので

町の中心で先に降ろしてもらった。

日差しがキツイ、

なるべく汗をかかないように日陰を選んで歩く。



公園を抜け、潮の香りがする方向へ進んでいくと

砦の跡が見えてきた。

「お、ポルトベーロ要塞だ」

砦は2つあり、

町の入口にあるのが「サンティアゴ砦」で、

奥にあるのが「サン・ヘロニモ砦」。

どちらも保存状態がよく、大砲がそのまま残っていた。



この史跡はサン・ロレンソ要塞とともに

世界遺産に登録されているが入場無料。

誰も管理しておらず、自由に立ち入ることができる。

世界遺産なのになんか得した気分。



誰もいない砦を歩き、カリブ海を眺めた。

海は穏やかで波もない。

入り江になっているからだろう。

数隻の船が気持ちよさそうに浮かんでいた。

桟橋の近くを歩いていると

「向こうの島まで渡らない?」と声をかけれら

魅力的だったが夜にはバスで移動なので渋々断った。

いろんな海を見てきたけど、最後はカリブ海だったか。



↑カリブでJUMP!!




帰りはボンネットバスに揺られ、

大音量のレゲエをBGMにうとうと。

さんさんと差し込む日差しが眩しく、

プールの後の5時間目みたいに

ひどく眠気を誘う午後だった。


■ポルトベーロ→サバニータ

(所要時間:約1時間/運賃:1ドル)

■サバニータ→パナマシティ

(所要時間:約1時間/運賃:2.5ドル)



ゴールへのカウントダウン。

パナマを終え、これで残り国数は「7」。

23時発の夜行バスで「コスタリカ」へと向かった。

首都サンホセまでは約1000km、

また長い長い夜を越える。

旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

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