3000億の男


ここジンバブエ、実は今大変な事態に陥っている。 

昨年秋に発生したコレラの大流行で

非常事態宣言が出されているし、

深刻なインフレは物価を10倍以上に押し上げた。 



失業率は実に80%というからシャレにならない…。 

噂には聞いていたが、

実際にここに来てみて事態の深刻さがわかった。 



まずは街が死んでいる…。 

レストランやスーパーはすべて閉鎖。

物がないのだ。 


激しいインフレにより現地通過は

紙くず同然になってしまい、1ドルがなんと

15000000000ジンバブエドル

(150億!)



20ドルを両替したのだが、 

手元には目もくらむような“0”の行列。 

1、10、100、1000… 

 えぇ~、300000000000ジンバブエドル

(3000億!) 

しかも500億札って…(汗) 


めっちゃ金持ちじゃん! 

イチロー、松阪、松井を越えたね!! 

今日から3000億の男と呼んでくれ。 



辛うじて営業していた商店が1軒だけあった。

でも商品棚はガラガラ...ここにもやはり物がない。 

それでもジュースやパン程度なら辛うじて買えそうだ。 


にわか金持ちは貼ってある値札に度肝を抜かれた…。 

コーラ=500億、パン=1000億、 

袋麺、ブルーベリージャムはなんと1兆!!! 

 (※すべてジンバブエドル) 



ゼロの数を数え、

ありえねぇ、ありえねぇと何度も口にした。 

ちなみに1ドルが150億だから、 

日本円に換算すると驚くべき値段である。 

コーラが300円、パンが600円、

袋麺とブルーベリージャムは...

えええぇぇ!6000円!? 

現地の人はこんな額を払えるわけないじゃん! 



これにはちょっとした訳がある。 

現地通過は紙くず同然で、貨幣価値は日ごとに変わるため、 

いつ本当のゴミになってもおかしくない状態なので、 

現地通過をとことん嫌うのだ。 



両替のレートも

1日で1桁変わっちゃうというから困った国だ。 

だから彼らは外貨を求めている。 

ここでは米ドルが主流で、

ドル払いをしないととんでもない金額を支払うことになる。 


もしコーラをドルで買えば1ドルである。 

袋麺もジャムも3ドルだった。 

とにかく面倒な国に来てしまった。 

幸いコレラは収まった感があるが、 

このインフレには相当振り回されそうだ。 

早く脱出しよう! 



財布にしまった3000億は

翌日紙くずになることをこの時はまだ知らなかった...。


旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

0コメント

  • 1000 / 1000