果てのない空


宿もまたパラダイスそのもの。 


『マレマレアロッジ』の広い敷地内には

民家風のコテージが点在し、

たくさんの動物が放し飼いになっていた。 

ブルドッグ、猫、カルガモ親子、孔雀… 

え、クジャク?  

ゴージャスな羽を畳んだまま目の前を通り過ぎていった。 


キッチンもあるし、レストランやバーも併設。 

ビリヤードや卓球だって無料だ! 

これで1泊100ランド(約1000円)はいいね♪ 



荷物を部屋に置き、さっそく散策に出かけた。 

最初はひとりで出かけたが、

この絶景をひとり占めするのはもったいない! 

と、相方のヒロを呼びにいった。 



 「スゲーな…」と、同じ言葉を連呼しながら

空を見上げては何度もシャッターを切るふたり。 

どこまでもつづく村の1本道を、溜息混じりに歩いた。 



ソト族の伝統的なバソト・バットを被り、 

カラフルな毛布を巻いた羊飼いとすれ違った。 

見ればまだ子どもだ。 

高らかに口笛を吹いて器用に羊たちを誘導していく。 



丘陵に作った段々畑では、山を1つ隔てて

大声でおしゃべりをする農夫がいる。 

パッチワークのような畑が幾重にも連なり、 

牛や羊の鳴き声が響く。 

牧歌的な風景に心は癒され、 

少しずつカタチを変える雲を目で追いながら深呼吸した。 



ザクザクと一定のリズムで砂を蹴り、

どこまでもつづく道と、果てのない空を散歩した。 

こんな景色、こんな風を目の当たりにすると、

ほかには何も要らない気分になる。 



満たされる、って

いろんなモノを手にすることじゃなくて

とってもシンプルなことだったんだね。 


こんな簡単なことに改めて気づかされ、

そんな気持ちを忘れずにいたいものだと思った。 



だから楽園? 


物質的な豊かさには限界があるけど、 

いつまでも変わらないこの景色に終わりはない。

旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

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