AM0:30、シンガポールのチャンギ空港に到着。
タラップを降りると、スパイスが混じりあったアジアの香りに包まれた。
「あぁ、また戻ってきたんだな」、懐かしさと安らぎをくれる。
まずは両替。空港はレートが悪いというのが常套句なのでといあえず1000円を。
小さな窓の隙間から戻ってきたのは13Sドル。※Sはシンガポール
「100円で1.3Sドルかぁ」
相場もわからず大事に財布にしまった。
市内へのバスを探しに外に出る。ドロっとまとわりつくアジアの熱風、
そしてオレンジの光がどこまでも続いていた。さすがにこの時間のバスはないようで、
タクシーの呼び込みに耳を傾けた。
「45Sドル」高い!絶対ムリ!!
日本円に換算したら3500円くらいでしょ?
日本にいたって払える金額じゃないよ。
しかもバスならたったの2Sドル(150円)なんだから。
仕方なく空港に戻り、せめて空腹を満たそうとレストランを覗く。
が、予想を上回る物価の高さにさらにめげた…。
結局コンビニでカップ麺(2Sドル)と
一番安い水(1Sドル)を買い、ロビーの端ですすった。
さて、今夜はここで寝よう。
荷物をくくりつけ、固いベンチに身体を横たえた。
1人掛けのベンチを4つ並べたこのベットは、
凹凸が激しく、身体の節々を痛めつける。
そして2時間後、効きすぎる冷房に震え、もう眠れない。
朦朧とした意識でザックを錠を解き、奥底に眠るフリースを掘り起こした。
あまりに惨めなスタートに早くも「もう帰りたい」と心が折れかけた。
午前5時、海外の空港でひとり思う。
30kgを超える荷物、言葉の壁、そして過酷な環境。
毎日がサバイバル。喜望峰は遥か遠い…。
バスを探しに再び空港を出た。
たくさん並ぶバス停の中で目的地の名を見つけた。
勇気が出た!よし、1歩出せる!
ふと、振り返ると大きな広告にこんな文字が。
「A NEW JOURNEY BEGINS」―新しい旅がはじまる―
そう、まだ始まったばかりだ。
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