タイの洗礼…!?


ペナンの名物「福建麺(ホッケンミー)」。

実はマレーシア中にこのホッケンミーは存在し、

同じ名前でも土地ごとに進化を遂げている。

中華鍋で豪快に炒めた黒い焼きそばが定番のようだが、

ここペナンことがオリジナルと言われ、

海老の殻やミソから丁寧にとったダシが命のスープ麺。


ペナンを離れる朝、宿の近くを散歩していると

ホッケンミー屋台が立ち並ぶ通りを偶然見つけたのだ。

海老のうま味を凝縮したスープに、

イエローミー(卵麺)とビーフン(米麺)の2種類の麺が入ってる。

ラーメンとは違うけど、とにかく旨い!

↑こちらが黒焼きそばタイプ


マレーシアのペナンを離れ、次の国へ入国した。

旅立って約10日、3ヶ国目はタイ。


思えばマレーシアは人が優しく、どこへいっても良くしてもらえた。

今日のタイ入国時も、バーツ(タイの通貨)がなくイミグレで困っていると、

「これを使いなよ」と、バスに同乗していたおじさんが

気前よく20バーツをおごってくれた。

この優しさに気がゆるんでいたのだろう。

タイは心の隙を見逃さない国だった。


どこへ行こうか? 国境の街、ハートヤイをうろつく。

するとバスターミナルの看板を発見。

「バンコク」、いやまだ早い。「スラータニ」、どんな街だい?

「ソンクラー」、おぉっ♪ そう、ソンクラーと言えば、

沢木耕太郎の『深夜特急』で登場する街。

同じバックパッカーとして見過ごすわけには行かない。


決めた! そうだ、ソンクラーに行こう!

ソンクラー行きのバスをポリスに聞いた。

「OK、カモン」ある男の元へと案内された。

ハシシを咥えた厳つい男性だった。


「まずはオフィスでチケットを買ってくれ」男性は言う。

「まずは両替がしたい」(KAZ)

「よし、案内しよう」(男性)

案内された両替所で50ドルをタイバーツに替えた。

1525バーツになり、レートは悪くない。

ただ、その男性がじっと両替の様子を見ていたのが誤算だった。

つづいて、オフィスでソンクラー行きのチケットを買う。


「一人100バーツだ」(男性)

「それは高い。50バーツが相場だと聞いたよ」(KAZ)

「ハハハ、そんなわけがない。100バーツが正規料金だ」(男性)

「ディスカウントしてくれ」(KAZ)

「ノー!無理だ」(男性)


渋々、100バーツ(360円)でチケットを購入。ミニバスに乗り込んだ。

助手席に座り、しばらくすると運転手が問う。


「君はいくらでチケットを買ったんだい?」

「100バーツだけど!?」(KAZ)

「オゥ…(苦笑)」(運転手)


ある程度はボラれていることはわかっていた。


「本当はいくらが正規料金なんだい?」(KAZ)

「30バーツさ」(運転手)哀れみを感じてか、食べかけのお菓子を分けてくれた。


やられた…。日本円に換算すればたかだか200円程度の損失だけど、

心のダメージは大きい。だって3倍以上払ってるんだもん。

自分の甘さを反省しつつ、こうやって旨みを覚え、

日本人はチョロイと思われたのが悔しい。


今回の反省点は、両替の様子を見られ、こちらの懐事情を知られたこと。

警察だからといって安易に信用したこと。

他社との料金比較を怠ったこと。

こんなんじゃ、インドでカモられ、

アフリカで食いものにされる。


タイの洗礼でやっと目が覚めたよ。


ソンクラー。 沢木耕太郎の「深夜特急」に登場する町。 

たしかマレー半島を南下する途上、このソンクラーに立ち寄るくだりがあり、

列車の中で出会った男に「ソンクラーはいいぞ」と勧められたのがきっかけだ。


夕方の海岸を散歩した。

そんなサミラビーチは、小説よりもずっと質素な雰囲気だったが、

物語の中にいるようで気分はよかった。 


「Don't Cry Baby、ソンクラーベイベー♪」

デタラメな歌を歌いながら、海風に吹かれながら。

旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

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