ここはタイのメーホーンソーン。
かの有名な首長族「パダウン・カレン族」が住む、
ナイソイ村にほど近い。
だから、街からは多くのツアーが出ている。
そんなツアーに参加してみた。
車に揺られること約1時間、目指す村が見えてきた。
道は舗装されておらず、身体が左右に大きく振られる。
砂煙を巻き上げ、車が停まった。
ここかぁ。
静かな山間の集落、木の葉が舞うように、
無数の蝶が飛んでいた。
桃源郷?
そんな言葉が似合うかもね。
入村料250バーツを払い、村へと足を踏み入れる。
竹を編んだような家、屋根はかやぶき。
軒先には、首に金色のコイルを巻いた女性たち。
そう、パダウン・カレン族だ。
タイにいるパダウン・カレン族は
20年前にミャンマーからタイに逃げてきた難民で
現在は200人ほど住んでいるとか。
彼女らは先祖が竜だったと信じていて、
満月の水曜日に生まれた女の子は「竜のお嬢さん」だといって
首を長くする習慣があるそうだ。
のんびりと機を折り、編み物をする彼女ら。
写真にも気軽に応じてくれる。
どの家も土産屋を兼ねていて、
この村の収入源はほとんど観光料で賄われている。
村の奥へと進むと、耳たぶに大きなピアスをしたカヨー族や、
膝に黒い布を巻いたカヤー族も住んでいた。
わざわざこんな辺境の地に、入場料を払って見に来る自分と、
生活を見せる事で生計をたてている彼女たち。
なんとも複雑な気持ちになった。
彼女らに会うのは憧れだったけど、
しっかりと用意された「感動」に、少し冷めてしまうのは、
単なるわがままだろうか。
幾多の観光客の目にさらせれ、写真を撮られ続ける生活。
伝統を守るためか、収入を得るためか、
そんな葛藤を抱えながら生きていく。
「辛いでしょ?」
「うん」
そう、頷きたいのかもしれない。
首に巻いたコイルさえ邪魔しなければ…。
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