タッチ&ゴー!


今日も中国四川省の北端

「松藩(ソンパン)」という小さな町からスタート。

世界遺産の黄龍を見るために訪れた町である。


チベット問題の影響で、ここから「アムド」

と呼ばれる地域を抜けるルートが閉鎖されたため、

やむなく成都へと、逆戻りすることになってしまった…。

旅とは、いつもトラブルと隣り合わせだ。

きっと渦中にいる今は、「あぁ、もう…」と頭を抱えているが、

時間がたってほとぼりが冷めるころ、

いい思い出へと変化し、これこそ旅の醍醐味だ!

なんて言ってるんだろうな(笑


とはいえ、時間がない。

というのも、中国にもGWがあり、宿や交通機関が値上がりする。

そしてビザももうすぐ切れてしまう…。

そこで、ある作戦を立てた。


名づけて“タッチ&ゴー”。


早朝発の長距離バスに乗って成都を目指し、

着いたその足でもう1発、寝台列車に飛び乗る。

もう、荒業だ…。

バスは8時間、列車は21時間という

長~い1日が幕を開けた。


第1ラウンドは「松藩→成都」の長距離バス。

もうバスは慣れっこ。出発して約2ヶ月で40本を超えてるもの。

うたた寝を繰り返しながら、あっという間の8時間だった。


そして第2ラウンドは「成都→蘭州」の寝台列車だ。

チケットの買出しを友人に任せ、駅の入口で荷物を見張っていた。

30分後、友人が手にしていたのは2種類のチケットだった。


「寝台が1枚しかなくてさぁ、

もう1枚は硬座になっちゃった…」(ヒロ)

「えぇ!?こ、硬座っ…!」(KAZ)


ここで少し解説。中国の列車には4種類の席があり、

「臥」は寝台、つまりベッドを指し、「座」は座席を指す。

ともに軟臥、硬臥、軟座、硬座があり、

読んで字のごとく、“軟”はやわらかいシートである。

もうお判りだが、硬座とは一番苦しい席である…。


さぁ、どうする?


ひとりはベッド、ひとりは硬いシート。

乗車時間はまさかの21時間…、まさに天国と地獄。

人がいいというか、チャレンジャーというか、

「いいよ、俺が硬座にいくよ」(KAZ)

と、勇気を振り絞って地獄の方を選んだ。


22:30、

辛く、長い夜が始まった。

でもなぜか、気分は「銀河鉄道の夜」のようだった…。

(4/19のブログにつづく)

旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

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