雨の日曜日


目覚ましをかけずに眠ったため、

ベッドから抜け出たのは10時だった。

この旅ではじめてのゆる~い朝。

ドミトリーのテーブルで遅めの朝食を済ました。


今日は日曜日。

パキスタンビザがお預けになったせいで、

ぽっかりと空白の1日ができてしまった。

しかも外は雨。出かける予定もキャンセルしよう。


シトシトと雨の音を聞きながら、紅茶をすする。

日本でも日々の疲れに、

ダラダラと過ごした日曜日があったな。

情報ノートを書き、デジカメの写真を整理する。

向かいには日記や絵はがきを書くマーさんの姿。

お互いの顔も見ず、ポツリポツリと、

とりとめもない会話が飛び交った。


みんな旅立ってしまい、

宿には自分たちふたりしか泊まっていない。

とても静かな10人部屋に少し戸惑ってしまう。


「お昼買い行くけど?」(KAZ)

「じゃあ、肉と玉子、あと今晩の米も頼める?」(マーさん)

出会ってもうすぐ一週間。

昔から一緒にいるように、

お互いに気を遣わない自然な空気が流れていた。


バレーでいえば、打ちごろのトスが上がってくるような。

ときおり、宿の子どもが部屋を覗きにくる。

歳は9歳と3歳の姉妹で、

そのあいくるしさから、マスコット的な存在だ。

ただ慣れてくるといたずらがエスカレートし、

昨日も顔や腕に落書きをされてしまった…。


口癖は「No Good」で、意外と頑固な子どもだ。

庭先で一緒に遊び、縁側(?)で音楽を聴きながら昼寝をする。

穏やかな時間のなかで、ここがキルギスだということも忘れがち。


また、この宿に泊まりはじめてからというもの、

キッチンを借りて毎日自炊をするようになった。

「旅をしている」というより「生活をしている」感じだ。

旅先で日本を思い出すのは、何気ない日常のワンシーン。


だからきっと、日本に帰ったあとに思い出すのも

こんな何気ない1日のことなのだろう。

雨あがりの湿った午後に、そっと。 

旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

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