パーイはドラマがいっぱーい!(後編)


くたくたの顔で宿に戻ってきた。

午後4時、とにかくシャワーを浴びよう。


食堂の前を歩いていると、

「ヘーイ!」と、陽気な声が飛んできた。

声の主は宿のオーナー。40台半ばのナイスミドルだ。


「散歩に行かないか、日本人」(オーナー)

「えっ、あ、はい」(KAZ)

「君の友達は何してる?呼んでおいで」(オーナー)

彼のコテージをノックし、事の次第を告げた。


散歩と言ってたくせになぜか車に乗り込むオーナー。

荷台に乗れと合図を送る。

オーナーの友人(?)と、愛犬も一緒だ。

状況が飲み込めないまま、山際の細い道を車は突き進む。


「よし、到着だ。さあ散歩をしよう!」(オーナー)

彼の名はヤーで、友人の名はシャー。

愛犬の名前は忘れてしまった。

4人と一匹、山を切り開いた畑を歩きはじめた。


昼間の大冒険でお腹いっぱいだったのに、

こりぁヘビーなデザートだ。

そんな別腹メニューも楽しくて仕方ない。

素性もわからないのに危険と思われるかも知れないが、

目や雰囲気で、この人は大丈夫だ、と判るようになってきた。


パパイヤの実を見つけては、ナタで切り分け、

バナナがあればもいで食べさせてくれる。

「これは薬草で、エイズにだって効くんだぞ」

と、ノーベル賞ものの知識も持ち合わせていた笑


道なき道を、口笛まじりで進む。

ご機嫌なヤーと、優しさに溢れたシャー。

そして黙ってついてくる愛犬の…。

落下する夕日を眺め、大きな池や牛の群れを見送る。

小さい頃に見たような景色をダブらせながら、

この大地を力強く踏みしめた。


なんなんだタイって!

底知れぬ魅力を持った国、そして人。

こうして約2時間、追加の冒険は幕を閉じた。

日もどっぷりと暮れたコテージで。

これでもか!と、

出会いやドラマをくれる毎日を

忘れないように必死で書き綴った。

旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

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