中国の決意


ラオスに入国し11日、

国境の町ボーテンから中国へ入った。

出発してちょうど40日で6ヶ国目だ。


ここは雲南省南部の街「モンラー」。

久々の喧騒に包まれながら、漢字ばかりの街を歩いた。

日本に近づいたせいか、時差も-1hに変わった。


昨夜は遅くまで世界地図やガイドブックと睨めっこし、

一本の新しいルートを開拓した。「無謀」とも思える新ルート。

というのも、当初の予定では

あと10日後にはチベットの「ラサ」にいるはずだった。

先日のあの暴動さえなければ…。


あまりに情勢が厳しい。

外国人を受け入れてくれる余裕はないようだ。

チベットは中学生の時から憧れている場所。

たぶん『3×3EYES』の影響だろう。


目前まで来ていながら道を閉ざされたショックは大きい。

「まだインドのラダックがある」と、何度自分に言い聞かせたことだろうか。

良くも悪くもあきらめが悪い性格なので、

納得できる方法を考えた、考え抜いた。

そして出した答えがこの新ルートだ。


「シルクロード」


ふと、頭に浮かんだ文字。

中国をぐるっと、反時計まわりで回ってやる!

地図をノートに書き写し、道を繋げていった。

昆明→成都→敦煌→トルファン→ウルムチ→カシュガル、

胸が高鳴る地名が並ぶ。

目を閉じれば、シルクロードに沈む夕日を背に、

ラクダがシルエットになっている映像が浮ぶ。

さらに、チベットの聖地「カイラス山」をかすめながら

K2やエベレストといった8000m級の山懐を抜けてネパールへ入る。

距離にして7000kmの大冒険ルートがここに完成した。



タクラマカン砂漠を駆け抜けるシルクロード紀行に始まり、

標高6000mを越える世界の屋根をもよじ上る、

うーん、想像しただけで身体が熱くなる!

ラサをあきらめる代償は、こんなにも大きくなってしまった。

(といいつつも、ラサを中心に弧を描くルートなので、

情勢が回復すれば、再びラサが狙える)


興奮冷め止まぬまま、電気を消し布団にもぐる。

見果てぬ夢のつづきを追い求めて。 

旅のチカラ、旅のカケラ

世界一周の旅、 それはもう遠い夏のようだ。 500日間世界を駆け巡り、 300を超える長距離バスに揺られた。 旅を終えて日常に復帰したが、 それでも時間を見つけては小さな旅を続けている。 旅のチカラに引き寄せられ、 旅のカケラを集めていく、 そんな毎日。

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